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第三章 噂好きのアラーニャ

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10/13~10/26

前章→第二章 門番の男

次章→第四章 王都薙刀術元師範


噂好きのアラーニャ

Trick or treat!

お菓子をよこせ!お菓子がないなら・・・噂話をよこせ!

うちに何の用?だいたい「Trick or treat!」って訪問してきた君のセリフじゃない?

え?アラーニャはいるかって?何で?

若い女の子の連続誘拐事件!!?何それ、超楽しそうじゃん!?



ちょっと待って、出かける準備ができたらその噂話を教えて。

ていうか気づかない?ボクがアラーニャだよ。君とは4周年パーティで会ったじゃん!

ふふ、仮装してるから気づかなかったか。

よし、準備もできたから一緒に街に繰り出すのだ!

で?で?誘拐事件って何?若い女の子だけが対象なの?



ってことはボクだって危ないのだ!

ロゼと屋敷の門番の妹が誘拐されたかもしれないって?

屋敷って・・・あぁ、魔王軍とつながってるっていう噂の屋敷ね。

え?屋敷の人に魔王軍と関係あるか直接聞いたの?

関係ないって?そりゃ自分で認めるわけはないよ!



屋敷が魔王軍と関係があるっていう証拠?

そんあのあるわけないのだ!

じゃあロゼの幼馴染が魔王軍とつながってるっていう証拠?・・・あぁ、幼馴染ってエリィのことね。

証拠なんてあるわけないのだ!噂なんだもん。噂ってのはそういうものなの。

別に無責任じゃないよ。ボクは聞いた話を伝えてるだけなの。



君にいいことを教えてあげよっか。

この世の中ではね、「真実」という言葉がもてはやされてるけどね。

本当は「真実」なんて何の価値もないんだよ。

人は信じたいことを信じ、信じたくないことは嘘だと決めつける。

ロゼだってそうだよ。エリィが魔王軍と仲良くしているなんて信じたくないだけ。



ボクの流す噂は信じたい人の背中を押すだけ。

噂を信じるかどうかは聞く人に委ねられているの。ボクは悪くないのだ!

ボクの耳に君の噂だって届いているよ。聞きたい?

別に?あっそ。聞きたくないなら言わないよ。

そうは言っても聞きたそうじゃないか・・・ふふふ、仕方ないから教えてあげるよ。君はね—



魔王軍と戦ったり、色んなところで活躍してるようだけど、本当は何もしてないんじゃないか、っていう噂だよ。

王都に届くのは君が活躍している、っていう噂話だけで「証拠」がないからね。

他にもあるよ。噂によると、ロゼを最後に見かけたのは君らしいじゃん。

だからロゼの失踪に関与しているのは、一生懸命ロゼを探している「ふり」をしてる人、すなわち—

君、じゃないかとかね。



ボクが言い出したんじゃないんだよ?すべては噂なの。

ふふふ、怒ったの?

・・・ボクはロゼのことは心配じゃないのかって?

そりゃ心配だよ。ロゼはボクの数少ない友達だからね。

でもロゼは大丈夫だよ。ロゼを心配して行動してくれる友達がたくさんいるからね。



—そう、君みたいな。

だからボクは気にせずハロウィンを楽しめるのだ!

さぁ、そろそろ仮装をした子たちが見えてきたよ!

あ、見て、あの子!あれって「雲竜風虎のデュエル」の格好じゃない!?超似てる!こわーい!

あっちは「コステ・シャンピーニ」だ。きのこのきぐるみを着てるよ。あははは。



あ、あっちにボクの友達がいるや。仮装してるボクに気づくかな?

『・・・アラーニャって・・・』『そうそう』

あれ?もしかしてあの子たち、ボクの噂話をしてる?

自分の噂を聞くのって初めてなのだ!そっと近づいてみよっと。

『・・・あの子、いつも人の噂ばっかりでさぁ、中身がないよね』



『あることないこと、言い触らしてるからね、私たちのことだって裏で何を言われてるか分かんないよ』

・・・どうやらボクの悪口を言ってるみたいだね。

帰ろうって?何で?ボクは悪くないから帰る必要はないのだ!

あ、ボクに気づいたみたい。

やぁ、遅れてごめん。君の言うとおり、ボクは中身を忘れちゃってて取りに帰ってたんだよ。



今はボクも中身があるよね?・・・え、何の話か分からない?

やだなぁ、君たちがさっきまで話してたボクについての噂話だよ。

あ、ちょっと!どこに行くの!?

・・・ふん、行っちゃったよ。これでまた友達が減っちゃったな。

というより、元々あの子たちは友達じゃなかったんだな。



みんな噂話が大好きなくせに、悪く言うんだから。

ボクはみんなが聞きたがるから教えてやってるのに。

ボクは道具なの。ボクの耳に届いた噂をみんなに伝達してるだけ。

なのにまるでボクが噂を作り出してるみたいに—

君のその表情は何なの?友達がいないボクを哀れんでるのか。

同情は無用だよ。ボクはこれしきのことでは全然傷つかないからね。



友達なんてものはね、幻なのだ!

ボクも相手も、みんなが信じないと成立しない。噂と同じ。

だから君がいくらボクのことをいい気味だと思ってても—

ちょ、ちょっと!何で君が泣いてるの!?意味が分からないのだ!



・・・友達だから?ボクと君が?・・・ふ、ふん!騙されるか!

ボクのことを友達なんて言うのは・・・

ボクは・・・強いのだ・・・友達なんかいなくても一人でも大丈夫・・・なの・・・

ボクの顔?・・・いつの間に涙が・・・

っかしいな。いつもはこんなのヨユーで防御できるのに。



何だか君の涙でボクの心の壁が洗い流されちゃったみたい・・・

あーあ、ヤダなぁ。ボクは他人に弱いところなんて見せたくなかったのだ!

・・・そっか、友達だもんね。弱いところを見ても君はバカにしたりしないもんね。

ふぅ・・・涙を流してすっきりしたみたい。ありがとう。

お礼に魔王軍の噂を教えてあげるよ。



昔、魔王軍が侵略してきたときに、侵入口を塞いだ一人を知ってるんだ。

剣術使いでね。一度訪ねてみるといいよ。

もしかすると侵入口の方からロゼにつながるかもしれない。

他に君にとって有益そうな噂は・・・え?噂はもういいって?

そんな・・・ボクの存在価値が・・・



え?噂話じゃなくてボク自身の話を聞かせてほしいって?

・・・さっき逃げてった子も言ってたけど、ボクには中身がないんだ。空っぽ。

だからね、ボクの空洞にたくさんたくさん噂話をつめこむの。

そうするとね、みんなボクに寄ってくるんだよ。

そしたらボクがみんなから必要とされてるみたいでしょ?



もちろん、みんなが必要としてるのはボクじゃなくて噂話なんだって心の奥では分かってるんだけど・・・

みんながみんな、そうじゃないって?

・・・そう言えば、昔ロゼからも同じことを言われたな・・・

でも、さっき伝えた剣術使いのところは訪ねたほうがいいよ。

その情報が君やロゼの役に立てば嬉しいな。



後は・・・噂話の代わりと言っては何だけど、お礼にこれをあげるよ。

ハロウィンの小物で使おうかと思ってたんだけど、使わなかったから。

さて・・・君はもう行くのかい?

そっか・・・また君の活躍ぶりは風の噂で聞かせてほしいのだ!

【第四章へ続く】



無邪気なアラーニャ

Trick or treat!

お菓子をよこせ!お菓子がないなら・・・噂話をよこせ!

・・・ねぇ、この台詞ってうちを訪ねてきた君が言うんじゃないの?

君のその格好は・・・分かった!騎士のコスプレだね!?

え?普段着なの?・・・それはずいぶんおしゃれだね。



じゃあハロウィンパーティに参加しに来たんじゃないんだ?せっかくだし寄って行けば?

私はアラーニャ。あれ、君は前にどこかで見たことあるような・・・

あぁ、4周年パーティで会ったよね。見てよ、ほら、色んな人がいるでしょ?

あれは13人目の魔女のコスプレ。あっちは狂博士ダイヤ。ジョーカーなんかは人気だね。

え、コスプレの話はいいって?どうしたの?



ロゼがこのうちに隠れてるっていう噂を聞いたから訪ねてきた、って?

知ってる知ってるその噂。

君が知ってるような噂は、すでに私の耳に届いてると思って間違いないね。

ロゼはね、残念だけとうちには来てないよ。

代わりにロゼの居場所に関する他の噂を教えてあげようか?



ただじゃダメだね。何か代わりに噂を教えてくれなきゃ。

・・・バトルとデュエルの喧嘩の原因は「いちご」?

そんなのは知ってるよ~。

・・・マーリンの苦手な物?・・・へー、ほんとに?意外だねー。

マーリンもパーティに来てるから本当かどうか聞いてみよっか。



ねぇ、マーリン。今の話、聞いてた?本当なの?

・・・ダメだ。マーリンは武器の「スチームマーリン」のコスプレ?だから喋んないんだ。

パーティに来たと思ったら部屋の隅にチョコンと座って、ずっとあのまんまなんだ。

しょうがない。本当かどうか確認できないけど、噂ってそういうものだからね。

ロゼの行き先に関する噂をいくつか教えてあげるよ。



一つはね、どこかの大きな屋敷にかくまわれてるっていう噂、それから—

もう王都を出てて、ここにはいないっている噂。それから—

家出はやめて、もう既に家に帰ってるていう噂まであるよ。

どれを信じるかは君次第だね。

何でそんなにいろんな噂を知ってるのかって?



ふふふ、それは私が努力したからだよ。

この世の中で一番価値があるものは何か知ってる?

命?お金?もちろんそれも大事だよ。

でもそれを支えるものがあるんだ。それは—情報、すなわち噂なんだよ。

噂を制すものは世界を制す。



私は勉強も運動もそんなにできるわけじゃないの。

勉強や運動で一位になるのは難しいから、私は噂の収集だけは一位になろうと決めたの!

そのためには、何よりも人脈!一に人脈。二に人脈。

パーティがあれば必ず出かけ、自分でも定期的に開く。

誰にでも大きな声で明るくあいさつをして、親切にする。



噂話をしても決して決めつけないし、悪い噂なら良い噂も一緒に伝える。

そんな涙ぐましい努力の末に、今の私の地位があるの!

分かる!若い女の子がかぼちゃの上に座ってるだけで世の中を操れるんだから!

何よ、その表情は。私がそんなに重要な噂を持ってるか疑ってる顔ね。

じゃあ一つだけ、と~っても重要な噂を教えてあげる。



君の信頼を勝ち得るために無償でね。特別だよ?

君もとっても興味があると思うんだ。何と言っても—

「魔王」に関する噂だからね。

「魔王軍」の噂はたくさんあるのに、「魔王」については全然噂がないでしょ?

実は・・・既に「魔王」は登場してるんじゃないかっていう噂があるの。



名前についてはヒントをあげると・・・

「マ」と「ー」と「リ」がつくあの・・・

マーリン?まさか!マーリンは気のいいフクロうさぎだよ。

もう一人?いるでしょ?そう—マリーヌ魔王説・・・

・・・あれ?全然本気にしてないんだね。



世の中を操るために何が必要だって私が言ったか覚えてる?

そう、情報・・・別に本人が集めて回る必要はないの。

みんな樹を育てるという目的のためにマリーヌの森を訪れるでしょ?

そこで必ずマリーヌとお喋りするでしょ?マリーヌも言ってるでしょ?

『アイテムをくれなくても、キミとお話ができるだけで、すごく楽しいのですーっ!』って。



マリーヌはね、私以上に噂を持ってるの。

騎士たちはみんな何の樹を育てているのかも知らず、せっせと武具や情報をわたしてるの。他ならぬ「魔王」に!

考えてもみてよ。もうマリーヌの言いなりになってる人がいるでしょ?

そう、ロゼ。ロゼなんかマリーヌが作る唐揚げセンパイのためなら何だってやるんだもん。

マリーヌはね、森から出ずにこれだけ大きな影響力を持ってるの。



マリーヌがもし森からでるときがあるなら、そのときは世界が・・・おおっと。

あ、笑ってるな?笑ってられるのも今のうちだよ?ねぇ、マーリン?

『・・・』

だめだ、マーリンは完全に「スチームマーリン」になりきってる。

え?今、パーティ会場にロゼがいた?



ロゼのコスプレじゃない?ロゼはまぁまぁ人気者だからね。

他にロゼが立ち寄りそうなところ?

そうだね・・・ロゼと仲のいい友達だと幼馴染のエリィとか・・・でもロゼは誰とでも仲がいいからね。

・・・そういやロゼが気になってる、というか好きな人?の噂を聞いたな。

いや、あくまで噂だからね?何でもロゼが以前—



『きゃああああああ!?』

痛っ!?なんでロゼが出てくるの!?せっかく隠してるのに!

あ、ロゼ!?どこに行くの!?何か落としたよ!?

ダメ!今はロゼを追わないであげて!マーリンも—

『・・・』

・・・マーリンは何をしに来たの?楽しいんならいいんだけど。

【第四章へ続く】



小悪魔的アラーニャ

Trick or treat!

お菓子をよこせ!お菓子がないなら・・・噂話をよこせ!

あ、アンタか、確か4周年のパーティで会ったね。

あぁ、何かよこせってのは冗談だよ。半分は。人の夢に入ってきてそんなに乱暴するわけないじゃん。

え?アンタがアタシの夢に入ってきたの?んなわけないじゃん。何言ってんの、アンタ。夢の中でも寝ぼけてんの?



アタシは門番に言って夢の中に入れてもらったんだよ。

そういや知ってる?あの門番がいた屋敷が魔王軍とつながってるていう噂。

何だ、知ってんだ。つまんないの。それじゃあねぇーえ?この格好?

あー、さっきまで別の人の夢の中でハロウィンパーティに出てたんだよ。ヤバかったなー!1000人くらいいてさ!

ロゼの4周年のパーティなんて比べ物になんないね。



ロゼ?さぁ、見てないよ。

あぁ、アレの話?ロゼが眠ったまま目が覚めないってやつ。あの噂はマジなんだ?

へぇ、で、アンタがわざわざ夢の中までロゼを探しに来たんだ。お疲れお疲れ。

え、一緒に?何でアタシも一緒にロゼを探さなきゃなんないのよ。

つーかさ、ロゼを起こす必要ってあんの?いーじゃん、寝たいなら寝かせておけば。



ロゼを起こしに行くって約束したから?ふーん、へ~・・・

危ね!超どうでも良くて夢の中で寝落ちするところだったわ。

たいだいね、困ってんなら、約束なんかしてなくても助けに行くのが友達なの。

アタシ?まぁ、そりゃロゼとは友達だけど、ロゼが本当に目覚めたいのかどうか知らないし・・・

そんなことよりアンタはここでどんな夢を見てんの?どうやってアタシを楽しませてくれんの?



だいたいせっかくの夢なのに何もないじゃん。空っぽじゃん。

だ~か~ら~アタシがアンタの夢の中に入ってきたっつってんじゃん。

何、アンタ、アタシの中身がこの夢みたいに空っぽだって言いたいわけ?

ダメだ、話になんない。つまんないから別の夢に行こうっと。

・・・あれ?これってどうやったら別の人の夢に移れるんだっけ?



あっちに行けばいいのかな?・・・つーかいつの間にかあたりが暗くなってるし。地面もジメジメしてるし・・・

出口ないじゃん!ヤダヤダ!こんな夢はヤダ!もうアタシ起きる!

・・・え、これってどうやって起きればいいの?アンタ何か知ってる?

・・・チェッ、何も知らないんだね。どっちか目が覚めればいいのかな?

<バチィィン!>



どう、起きた?え、怒るの?ちょっとビンタしたくらいで?心が狭くない?

キャァ!叩かないで!アタシはビンタをする係で、アンタは受ける係なの!

アハハ、楽しいね!え、ちっとも楽しくない?っかしいなぁ。

ねぇ、ちょっと。ブスっとしてないでアンタも出口を探してよ。

アンタもっていうかアンタが。アンタの夢でしょ?・・・あ!



いや、何でもない、何でもないの。

(あたりが暗くて分かりづらいけど、この真っ暗な穴は間違いなく出口だな・・・)

(でもせっかく先にアタシが見つけたんだ。何かに利用しない手はない・・・)

ふふふ・・・ねぇ。どっちが先に出口を見つけられるか競争しない?

いい?せっかく競争するんだったら、勝者には何かご褒美があったほうがいいよね。



そうだな・・・負けた人は勝った人が困ってるときに助けなきゃならないの。

(ふふふ・・・助ける回数は言ってないし。ちょっとしたことでも呼び出してやろう)

(あー、困った困った。喉が渇いたからジュースを買ってきて、とか)

(あー、困った困った。暇だから何か面白い噂話を聞かせて、とか)

いい?・・・よし、それじゃあ約束だよ。もし約束を守らなかったら、そのことを噂で広めるからね!



私が本気を出せば、魔王軍にまで噂を広められるんだから。

よし、じゃあ・・・スタート!

(さすがにすぐに見つけたら、不正を疑われるからここらへんでゆっくり・・・)

(あー、アイツは一生懸命探してるなぁ。出口はアタシの足元にあるのに)

(アタシは探してるふりをしてればいいだけだもんね)



(・・・あー、暇だなぁ・・・あれ、今日って『イケイケマーリン』の放送日じゃなかったけ?)

(ヤベ、録画予約してなかったかも。早く帰んなきゃ)

『♪パラッパラーラーパラッパラ~』

キャア!『イケイケマーリン』のテーマ曲じゃん!?

わ~!止めて止めて!?



ア、アンタはこっちに来なくていいの!困ってないから!

『あっ!』って何!?

!?出口を見つけた?ち、違うの!それはアタシが先に見つけてたんだから!!

そ、そりゃ見つけたとは言ってないけど・・・ていうかどうやったら音楽が止まんの!?

・・・はぁはぁ、止まった・・・な、何?その表情。



アタシが『イケイケマーリン』が大好きだからってバカにしてんの?

言っとくけどね!『イケイケマーリン』は別に幼児用のアニメじゃなくて、大人だって見るんだからね!

・・・え!『イケイケマーリン』を知らないの?違う違う。『行け行け』じゃなくて、マーリンがイケイケなの。

マーリンが日サロで肌を焼いたり、眉を整えたり・・・まぁ結構昔のアニメだからね。

うぅぅ・・・アタシの『イケイケマーリン』好きは友達の誰にも知られていないのに、何でアンタなんかに・・・



このことは誰にも言わないって約束しろ!

や、約束してくんないの!?鬼!悪魔!魔王!

・・・約束しなくても言わないって?・・・友達だから?・・・ふ、ふん!

ナマイキナマイキ!こんなことで感謝されると思うなよ!?

じゃあじゃあ、先に出口を見つけたほうが助けてもらえる、っていう約束もナシね!



なんてったってアタシたちは友達だもんね!?

・・・約束は約束!?な、何でだよ!ふぅぅぅ!!

・・・とりあえず『イケイケマーリン』のことを黙っててもらう代わりにこれをあげるわ。

さっきのハロウィンパーティで拾ったんだ。

じゃあ、アタシは『イケイケマーリン』を録画しなきゃいけないから帰るね。



・・・約束は守らないのかって?ふん!ヤナコッタ!

<アラーニャは出口からとっとと出ていった>

【第四章へ続く】



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